店での買い物
9/272021
カテゴリー:筆者の体験
ロシアの店員には2種類の人間がいます。一つは丁寧で優しい接客をする資本主義型人間で、もう一つは態度が酷くモノを乱雑に扱う社会主義型ロボットです。前者は特にモスクワやペテルブルグなどの進んだ都市に多く、後者は田舎町に多いです。
まずは、筆者がモスクワに住んでいたときのことです。モスクワは食料品や日用品、家具・工具などが揃っている大きな店がたくさんあって不便は感じません。モスクワでは店員は結構愛想がいいです。なんというか「言葉」が通じます。食料品を買ったときはモノを比較的丁重に扱ってくれて、会計まで早く進めました。食料品店ではパスポートを見た店員(基本的に店員は女性です)が、「へ~日本から来たんだ。ロシアはどう?楽しい?」なんて話しかけてくれました。当然の話ではありますが、外国人が数多く通る、クレムリン近くのお土産屋さんが並んでいる場所では、店員の活気に満ちた声が聞こえます。ずっと欲しかったプーチン大統領の大きいマトリョーシカを見つけました。「お兄さんかっこいいからこれ3000ルーブルでいいよ!サービスよ!」という女性を見て、ジェームズ・ボンド「死ぬのは奴らだ」に出てきた木彫りの像を売るタイの少年を思い出しました。
大きな店がたくさんあるということは、競争が行われているということです。客に丁寧に親切に接し自分の商品をできるだけ多く売り込む。みんな商売上手です。丁寧に梱包し店の出口まで見送ってくれました。気持ちよく買い物ができました。「ダ スヴィダーニヤ~(また会う日まで)」
店を出てからマトリョーシカの底の値段シールを見ます。「3000ルーブル」やっぱり!負けていませんでした。
今度は(個人を特定されるので地名は言えませんが)ロシアの田舎町です。店で商品を選びレジへ持っていきます。商品は全て自分でカゴから出してコンベヤーの上に載せ、カゴは近くのカゴ入れに入れます。「パケット ヌーヂェン?(袋要る?)」というお馴染みのフレーズが聞こえます。要るというと「ベリー(取って)」といって台の下(店員の側ではなく客の側に袋がしまってある)から袋を選んで渡すように言ってきます(ここまでは都会でも同じです)。袋を渡すと、店員が袋を自身から見て右側のポケット(ロシアでは普通店員から見て左から右に向かってレジ上のコンベアーが流れていて、行き止まりになっている右側のポケット部分にバーコードの読み取りが終わった商品が押し込まれていきます)にフワっと飛ばします。客はポケット側に移動し、袋を自分で広げて、店員がテキトーに投げ飛ばしてくる大切な品物をしまいます。ロシアにはおいしい板状のチョコレートがいくつもありますが、お土産には向きません。レジを通過するときには真っ二つに、もしくは最悪破壊されています。「投げないで!」言ってみても無駄です。そのようなことはプログラミングされていません。
買い物の際はレジに持っていく前に、ちゃんと商品を見てください。棚の前の方にあるのは賞味期限が切れている可能性が高いです。袋に穴は空いていませんか?おかしな状況を記念に写真に収めましたか?筆者は消費期限が2週間過ぎた牛乳を飲んでしまいました(古い商品が買われて棚からなくなるまで、新しい商品は卸されません)。おかげでトイレと親友になりました。山羊のミルクは毛が入っていますよ。なんでスパゲッティの袋に洗剤の塊がついているんですか?なんで絵はがきが鶏肉の冷凍庫内にばらまかれているんですか。
大抵の場合、店員の態度も最悪です。「こっちは売ってやってるんだぞ」「今スマホいじってんだから邪魔すんな」とでも言いたげな様子です。読者のみなさんももしロシアに行ってこの敵を前にしたならば、きっと腹の底から怒りの感情が湧き上がることでしょう。
個人的に経験した店での出来事を3つ書いておきます。
①「歯ブラシはどこにありますか?」「歯ブラシはここにはない!」すぐ近くで見つけました。
②「胡椒はどこにありますか?」「何で胡椒が要るの?」「はい?」「何をつくるの?」「女友達が料理をしてくれるんです。先に材料を買って来いって言われて...」「タク ハラショー(いいわ)」ロシア人はなぜかいちいち質問で返してきます。
③酒を買うときにはパスポートを見せます。「はい、パスポート」「あなたは本当に日本人?」「はい」「誕生日はどこにかいてあるの?」ロシア語で書いてあんだろバーカなんて思いながら「ここですよ」とにっこり。ビザのページはロシア語なのでいつもそこを見せています。なかなかスムーズにすすみません。
極稀ですが田舎でも良い店員に出会えるときがあります。筆者が感動したのはイクラショップでの出来事です。キャビアを何缶か買いました。店員のお姉さんに保存方法について訪ねたところ、丁寧に教えてくれました。そればかりかちょっとした会話をしたあとにキャビアのおいしい食べ方を教えてくれました。言葉とジェスチャーだけでなく、スマホで検索して写真も見せてくれました。ちなみに教えてくれた食べ方は、スライスしたフランスパンにキャビアとみじん切りのタマネギを乗せてオリーブオイルをかけるというものでした。キャビアの塩気がちょうどよくとてもおいしかったです。
筆者はまだロシアの東側に行ったことがありません。いつか行ったときにはそこで対峙するであろうロシアの強敵について紹介したいと思います。
今日はこのへんで。