この国にゲイはいない
チェチェン共和国に同性愛者はいない
ロシアの田舎町に住んでみると、あまりにもゆっくりした時間の流れに調子を狂わされる。
レヴァダセンターの2021年の調べ
レヴァダセンターの2021年の調べでは、同年9月21日の同性愛に関する質問の解答が以下のようになっている。「成人は、相互の合意によって同性愛関係を持つ権利があるか」解答は、ある10%、どちらかといえばある15%、ない52%、どちらかといえばない16%、わからない7%となっている。「同性愛者にどう接するか」という質問に関しては、9月21日で「落胆と恐れを感じる38%、無関心32%、迷惑13%、警戒心をもつ9%、親しくする3%、興味がある1%、言えない4%」2015年に管理人が調査を確認した際はそれぞれ「24%,22%,-,-1%,2%,5%」だった。2015年から2021年までの間に、否定的な閑雅を持つ人が増えているということがわかる。2022年の軍事侵攻以降は、西側との関係が一段と冷え込んだ。政府の宣伝もあるが、そもそも国民自身が政府にいわれるまでもなく、西側の価値観がロシアに入り込むことへの警戒心を強めているはずである。次回の調査では否定的な考えを持つ人がさらに増えることになりそうだ。男女で見ると男性のほうが否定的な感情をもっていることがわかる。しかし、女性も6割を越える人が否定的な見方をしている。やはりロシアにおいては同性愛は普通ではない。
年齢で見ると世代間のギャップが非常に大きいことが分かる。18-24歳の若者は39%が否定的なのに対し、55歳以上では81%が否定的な見方をしている。若い世代ほど否定的な見方はなんか傾向にあるのだ。55歳上というのはソ連時代を20年以上経験していた世代である。生産年齢でバリバリ働くような年齢の時にソ連の大混乱の時代を経験した人たちだ。西側に対抗してきた東側陣営の国民として同性愛を堕落だと教え込まれてきた。
現代ロシア
 新生ロシアとなって30年が経った。今日のロシアでこのような事態をみることは以前よりも少なくなった。すでに資本主義経済に移行し、誰もが身分を保障されている時代ではなくなった。
 モスクワなどの都市部ではガラッと変わった。結果を出せなければ給料はもらえない。だが逆に言えば一生懸命に働いて良い結果を残せば、お金持ちになることもできる。以前のような受け身かつ怠惰な姿勢が徐々にロシア人の中から消えていっている。
 しかし、地方の街はそうはいかない。もちろん結果を出さなければ給料は上がらないが、結果を出しても上がらないのだ。平均賃金はモスクワと地方では3倍くらいの違いがある。会社側はできるだけ人件費などの支出を減らそうとする。お金を独り占めしたいという欲望を持った経営者はロシアには多い。そのために賃金の未払いや支払い遅延などを頻繁かつ意図的に行う。従業員はこれに不満を言う。しかし実はこれは、ニワトリが先か卵が先かというような問題で、従業員側にも問題がある。彼らは給料日の前にそわそわし始め、給料をもらうと仕事をサボるというソ連時代の伝統を守っている。連絡や許可なしに仕事を休んだり、職場に恋人を連れてきて頻繁にオフィスや作業場から抜けたりする。従業員によって突貫工事された仕事が多いので会社側はお金を払いたくない、という側面もあるのだ。労働や義務を避けようとする姿勢が地方には色濃く残っている。徐々に変わってきてはいるが、まだまだ大きな変化には時間がかかりそうだ。
《参考文献・資料》
スミス・ヘドリック(著)、高田正純(訳) 1975 「ロシア人(上)」 時事通信社